台湾人と二人で行った高雄の旅

 私はこの前のクリスマス初めて台湾人の友達と二人で一泊二日の旅行に行きました。ある日私のルームメートがクリスマス一緒に遊ばない?と声をかけてくれてそれから二人で高雄へ行くことになりました。しかし、内気で普段話も多くない私は楽しみより不安と緊張のほうが勝っていました。なぜなら私の母はよく、「女子同士で旅行に行くと絶対仲が悪くなって帰ってくるから、気をつけな」というからです。特に「二人は要注意」だそうです。私は内心やばいと思いました。日本人の使い物にならない私は、このままでは会話もろくにできず、旅行の段取りも相手に任せっきりで、嫌われて帰ってくることになります。そんなわけで、誘ってもらっていくことになったものの、この旅行はあまり乗り気になりませんでした。

 実際行ってみた感想としては異なる国籍の友達と行く旅行は日本人二人で行く旅行とは全く別物だとわかりました。一番大きな差は相手も私がなにも役に立たないことを知っているということです。お互いの立場を理解しているから、友達も当然のように私のお世話をするように高雄を案内してくれました。行き帰りの高鐵のチケットをはじめ、ホテルの予約、旅行プランの作成(ありがたいことに私の行きたいところをもとに回り方を考えてくれた)まで全てちゃちゃっと一人で終わらせてくれました。

台湾人と旅行にいくといいことは他にもあって、例えば現地人しか知りえないちょっとお得な情報を教えてくれます。高雄の夜市で何を食べるか迷ったとき、「これはどこでも食べれるけどあれはここでしか食べれないよ!」と教えてもらうと、より深く高雄を味わえます。せっかく高雄に来たなら、そりゃあ高雄のものが食べたいです。お土産を吟味するときも、これは果たしてどこでも手に入るのかな?とか、ここで買ったほうが安いのかな?とか、そんな疑問を聞くとすぐに解決してくれます。

 他にも、観光客だけではとても入りにくい、現地人しか知らないような小籠包屋さんに連れて行ってくれました。そのお店は、椅子と机が道端に並べられていて、さらに厨房まで道端にあるという、とても簡易的なものでした。さらに机と椅子はとても汚れていて、前の人が食べ終わったところのお皿を片付けたら机を拭かずにそのまま次のお客さんが座っていきます。私にはなかなかレベルの高いお店で、一瞬入ることをためらったけれど、友達はそんなことも気にせずずんずん進んでいき、席に座ってから私も座るように呼んでくれたので、腹をくくって私も友達の隣に座りに行きました。一つ安心できたことは、そのお店に絶えず現地のお客さんが来ていて繁盛していたことです。食べ物屋さんがたくさん並ぶ台湾に来てから、お店を選ぶ基準の重要条件の一つがお客さんが多いこと、なので条件クリアと自分に言い聞かせながら小籠包を注文しました。

 さて、十五分ぐらい待っているとついに私たちの小籠包が運ばれてきました。待っている間にもお客さんがどんどん来て、行列を作り始めたため、もう机や椅子のことなどどうでもよくなってきて、味への期待が高まるばかりでした。一口食べてみると、確かに今まで食べたことのないほど柔らかくて、皮の部分がほんのり甘くてとてもおいしかったです。

 心配だった道中のおしゃべりも、TOEICのリスニングテストのように集中力を高めて無事意思疎通を図ることができました。二人で旅行に行くということはとても新鮮で、旅先で新しい体験をするだけでなく、一緒に旅をしているその人自身を知っていくことになります。同じ部屋に住んでいるので、寮生活の不満という共通の話題があって、とても盛り上がりました。ルームメートのトイレが長すぎるだとか、就寝時間が2時半で遅すぎるだとか。一緒に旅に出かける人となにか共通の話題があるということは重要です。(ちなみに、一日目に調子に乗って話しすぎたせいで、二日目は友達の話すスピードが速くなってしまってほぼほぼ聞き取れなくなり苦笑いで乗り切る一日となりました。調子に乗りすぎるのも要注意です。)

 日本人同士で旅行に行くと、誰か一人だけが地図を見たり電車を探したりする役割を負担する構図が出来上がってしまいがちです。これではその一人の負担が大きくてその人は当然不満に感じます。だからと言ってそれぞれが地図を見て道順を調べるのも意味がなくて、無駄にスマホの充電が減っていくだけです。だから私は複数人で旅行に行くときは役割分担を決めていくのが旅行を楽しむため秘訣だという結論にたどり着きました。例えばプランを考えてホテルをとる人、一日目地図を見る人、二日目地図を見る人、といった感じです。

 私は今回の旅に限らず、大学生活自体が旅行のようなもので、日々台湾の友達にたくさんお世話をしてもらっています。幸いなことに私の友達は日本を好きでいてくれている人が多くて、ほぼ全員が日本に旅行に来たことがあり、また行きたいと言ってくれています。その時の役割分担は私に回ってきて、私が友達を案内しながら一緒に旅行をしたいと思います。(友達の中には10回以上日本に来ている人もいて、私が行ったことがないとこに行っているような人もいますが。)